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2024/03/22

 

 



2024/03/20

2279 リジットな機械循環系を確保したトーンアーム増設ブラケットを設計する。

現在、アナログプレイヤー2台体制だが、ステレオ、モノラル、SP盤に特化した3台に分化と考えていた。あるときテクニクスのプレイヤーが端麗・淡泊傾向であることに気づいてしまったので、プレイヤーを増設するとしたらトーレンス124一択になる。ところがTD124型の価格が急騰して、ここ10年でほぼ倍になっていて良品がほとんど市場にはない。仮にそのクラスを得たとしても銚子のグレイでレストアすれば更に・・万円。

であるなら予備としてキープしているサエク407-23トーンアームを現用TD124に増設できないかジーっと眺めていた。表題のように機械循環系を蔑ろにした別置きボードはあり得ないから、トーレンス124のフレームに軽量アームブラケットをアドオンする方法を考えた。

しかし難しいプロジェクトだ。本体が1950年代の鋳造なのでフレームのサイド面がかなり傾斜している。これでアームボードの水平出しアジャストができるのか? 本体に一切の穴を開けないでリジットに固定させることが可能か? と難題。紆余曲折あったがいくつかのアイデアが浮かびミニマムなデザインで解決できた。ブラケットの素材は軽量強靭という目的から、超剛性アルミA7075を採用。コンマ以下の精度が求められるため一体削り出しで、NPS(金属加工)に試作品として依頼した。

手前の大きいネジは本体フレームを内部から押し込む用途で、鉄製の六角穴スーパーローヘッド小頭ボルトM6/L16。細いネジ穴は本体フレームの傾斜補整用でブラケットの水平を確保。こちらは低頭小ねじM3/L10を採用するが、ここはメカニカルサーキットの経路なので音に影響するはず。暫定的にブラケットと同質素材だが真鍮製に変えるかもしれない。この設計過程ですっかりネジフェチになってしまったが(笑)4点のネジが外部からは見えないところがアピールポイント。



2024/02/25

2278 ALTEC 802Dと余生の連携について。

802Dドライバーは515Bウーファーと一緒に代々木のウエスタンサウンド・インクで購入した。1996年の春だ。自作システムに組み込み現在に至っているが、一生これを使うと決めていたので、現状が絶好調とはいえ予備としてもう1セット必要と当時から考えていた。

802D/16Ω仕様は1957年から後継の802-8Dに引き継がれる1973年まで16年にわたり販売されていたようだ。このドライバーは我が家のオーディオシステムの中核であり、この布陣でこれ以上のものは存在しない。コレクター的知識に乏しいので、どの時代のものか不明だがハンマートーン塗装なので初中期のものかもしれない。後期製品でも41年以上経過しているからコンディションの良いものを探すのは至難。ここ10年くらい新たな巡り会いを求めたが、2年前にダイヤフラムだけを入手し”お守り”にした。

ところが・・・ 諦めたと思ったら現れた!

外観だけで評価すると極上品だ。メタリック塗装仕上げでオリジナルダイヤフラム、直流抵抗値も8.7Ω/8.8Ωと文句ない。とはいえ本人の余生が短くなった現在、ほんとに必要だったかどうか? これはわからん(笑)



2024/02/22

2277 バルバラ

若者向けの深夜放送ブームが起こる直前、AM文化放送の深夜帯で櫻井陽子さんDJの番組を聴いていた。あるときブラッサンスの「可哀想なマルタン」という曲がかかった。バルバラという歌い手をはじめて知った。1960年代の終わり頃の話であるが克明に覚えているのは大きな衝撃を受けたからだ。彼女の歌には声の背後がありそれを伝えていると感じた。以後バルバラは特別な存在になりそれはいまでも続いている。
フランスのピアニストAlexadre Tharaud(アレクサンドル・タロー)が20年の歳月を費やして完成させたバルバラのトリビュートアルバム"BARBARA"、本来は二枚組セットだったがすでに廃盤になっていて、再発の単品CDを入手した。バルバラ初期の名作”ピエール”をプロローグとエピローグに置いた構成で、ここでのピアノ演奏はシングルノートでバルバラの深い世界観を現している。静謐とか漆黒というコトバが浮かぶ。間に配置された歌い手の競演も素晴らしいものが多いが、バルバラには敵わない。全編アレクサンドルの演奏で徹していたら・・・ とはいえ繰り返し聴いている。2017年録音。しかしこのジャケット素敵だなぁ。



2024/02/22

2276 ピアニストを聴く。

クリスチャン・ツィメルマンのシマノフスキ作品集
シマノフスキは小山実稚恵さんのアルバムで知った。スクリャービン、シマノフスキ、サティに共通する匂いが好きだ。儚くて揺らぐような・・・うまく表現できない。ツィメルマンは若いときのショパンを良く聴いたが、いまや巨匠だ。このアルバムは構築性とニュアンス表現で完璧だと思う。我が家の装置でも録音の凄さが分かる。CD 40年でここまで来たかの感あり。2022年録音

ミケランジェリのパリライブ
ベートーヴェンのソナタNo.3とNo.11、ブラームスの四つのバラード
聴衆の拍手が止まって演奏が始まるまでの沈黙が超長い!予想の3倍くらいか(笑)完全主義者のミケランジェリだが、ライブ録音が多く残されている。一期一会にかける演奏者の気迫をいつも感じる。驚くのは、コード(っていうのかどうか)の響きのクリーンさと余韻の美しさだ。もしや平均律ではないのか?他のピアニストとは明らかに違う。さらにいうと速いパッセージでも間に入っている空気を感じるのは何故だろう?緩いわけではなく精密で質量のあるものが0.1mmフワリと浮いているような・・・1978年録音

内田光子のディアベリ変奏曲
このベートーヴェンの大曲は聴いていて息が詰まりそうになることが多く、最後まで聴き込むことが難しいと思っていた。が、内田女史の演奏は過剰なチカラを感じさせず、最後まで楽しめた。なにがどうとかの蘊蓄は言えない(笑)ピリスとともに大好きなピアニストだ。女流とかの区分けなしに、ね。2022年録音

ショスタコーヴィチ24のプレリュードとフーガ by Alexander Melnikov
わたし、はっきり言ってショスタコーヴィチが苦手なのだ。アレクサンドル・メルニコフが凄いという噂をきいて(笑)怖いもの見たさで求めてみた。が、2時間半聴いて、やはり苦手だぁ。演奏者のせいか、作曲家のせいか分からないが、凄い演奏だけど隙がないというか揺らぎがないというか・・・個人的な嗜好なのでお許しを・・・2008-2009年録音



2024/02/21

2275

iPhoneXs max
f2.4, 1/60sec, iso200, +0.36



2024/01/31

2274 けして調整が好きなわけではなく・・・

61バンドのRTA(リアルタイムアナライザ)と31バンドのアナログGEQによる調整を最後に行ったのは2021年の5月だった。その後は音楽が気持ち良く鳴る方向に聴感だけで追い込み、測定などは行わなかった。この1年でサブウーファーの設置改善とかプリアンプの入れ替えがあったので、現状を確認しつつ再調整を行った。今回もフラット志向は捨てて定在波の改善だけに的を絞った。これは三次元の振る舞いなのでGEQで平らになるケースは皆無で、少しでも改善方向に向かえば吉というスタンスだ。

61バンドは1/6octであり、理想的な観測窓としては1/24octくらい欲しいが、補整カーブは1/3octステップくらいが音が死なない限界ではないかと思っている。要は補整カーブの角度の問題でこれはデジタルEQでも同じとみているが、トリノフなんかは1/384oct(4096分割!)凄いねぇ、、

周波数スペクトラムは三次元の振る舞いであり絶えず揺らいでいるから、測定値の評価は一筋縄ではいかない。マイクロフォンの位置はスピーカー至近で左右、ニアフィールドポジション、リスニングポジション、リラックスポジションで測定する。RTAの表示をリアルタイム、ホールド、累積などを比較しつつGEQのスライダーを動かす。面白いのは定在波の発生帯域では測定値とスライダー操作がリニアに反応しないこと。操作帯域は80Hzから315Hzまでとし、最大幅を±4.5dB以内としているから、前記のとおり改善方向に向かえば更なる深追いはしない。

今回の調整は、定在波に関しては微調整で済んだのだが、サブウーファーとスーパーツイターのレベルを双方とも2dB程度アップさせた。AES標準リスニングルーム規格の範囲ではあるがかなりワイドレンジ仕様になっている。とはいえ今後様々なソースを聴くうちに元に戻る場合が予想される(笑)

で、現状の音は? 定在波は低域の曖昧さで語られると思うが、改善に向かうと空間に音が浮遊する感覚に驚く。スピーカーオーディオは空気のリニアな挙動をサポートすることだと気がついた。

写真は左上からリスニングポジションとスピーカー至近の測定マイクロフォンの位置。右下はリスニングポジションにおける補正後のRTA画面とGEQのスライダー位置。以前は左右別の補整カーブを採用していたが、現在は左右統一カーブにしているが理由は長くなるので省略。表示画面の横軸点線は10dB幅、スペクトラムの上にある孤立ラインはピークホールドの値。



2024/01/27

2273 1960年のレコード屋で・・・

旧甲州街道沿い、宿場町の面影を残した一角に「東響堂」という小さなレコード店がある。ガラス戸を引くとプラモデルの箱が積み上がった模型屋という風情なのだが、奥のカウンターの背後に天井まで届くレコード棚がある。店名のとおり本来はレコード店なのだ。

「ステレオ盤ならあるがそれでいいか?」
ロッシーニのウィリアム・テル序曲を買いに行った小学生の問いに店主が答えた。この時代、レコードの主力製品はモノラルの10インチ、7インチで、SP盤もまだ現役で売られていた。田舎の店のはなしなので都会は少し違ったが、ほぼ3年前にデビューしたステレオ盤は特別の棚に収められていた。レコードは平台の縦置き陳列ではなく棚の中に平積みされたいて、買い手が取ることはできない。

というわけで、言われるままにバンベルグ交響楽団(ジョネル・ペルレア指揮)の7インチステレオ盤を買った。家にあるのはモノラルの電蓄だったが問題なく聴くことができた。初めてのステレオレコードでいまでも10年に一回くらい聴く。かなりの名演奏で、とくに第2部の嵐、途轍もなくディープなクレッシェンドに陶酔する小学4年生(笑)