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2022/04/06

2291「枯れた芸」を目指そうと決意したところだったが・・・

三味線の演奏に夢中だったことがある。長唄三味線である。独学では伸びしろがないと悟り、図書館にあった”長唄名鑑”という名簿で師匠を探した。二十歳の頃だ。当時からこのジャンルのレコードを聴き込んでいたので、好みの流派を絞り芸歴と顔写真を頼りに選んだ。とエラそうに書いているが青二才には緊張しかなかった。若気の至りで失礼な態度であったことしか思い浮かばないが、数年間は必死に練習をかさねた。

それから45年の歳月がながれ、再び三味線を復活させたいと思った。

先日、皮の張り替えが仕上がり、恐る恐る弾いてみた。力みがなくなった分、いい演奏が出来そうな予感もあったが、まず手が動かない!まぁ老後の楽しみでもいいけれど何かしら成長、あるいは円熟の境地を目指したいものだ。

などと書いていると、つい先ほどその師匠から電話がかかってきた。人間国宝、芸術院会員といった邦楽界の頂点に登りつめた巨匠であるが、満足な演奏が出来なくなったと先年舞台から退いた。わたしが再び三味線を始めたと伝えたら、受話器の向こうの嬉しそうな気配とともに「枯れた芸」なんていうがあれは嘘だねぇ、とアイロニックな物言いは昔と同じだ。来月ご自宅へ訪問することになった。みえない糸で繋がっていたことが嬉しい。



2022/03/26

2290

スピーカーを2cm前に出してみた。
ややドライ傾向だけど、浸透力は上がっている。
アルバートアイラーとかグレングールドはこっちがいいと思う。
スピーカーの位置決めは見た目だけでやります。音は聴かない(笑)



2022/03/19

2289 「春興鏡獅子」における至芸

日舞の名手、西川鯉三郎 昭和30年代の舞台。リンクURLは前半、胡蝶の舞のあと。地方陣の貴重な演奏映像をご覧いただきたい。唄は芳村伊十郎、伊四郎、庄三郎、佐三郎。三味線、杵屋栄次郎、五三助他。小鼓、藤舍呂船他。当時の最強メンバーである。刮目すべきは立三味線の杵屋栄次郎だ。強靱かつクイックな撥さばきでありながら典雅な色香を漂わせている。冒頭の藤舍呂船の小鼓も濡れたような深い音色でスペースを作っている。まさに名演の極致じゃないだろうか。これを越える演奏に出会ったことはない。収録年代は唄方ワキの十世伊四郎が存命だったから、昭和30年代前半であると思う。

https://youtu.be/QnHgNaTa44M?t=1333



2022/03/16

2288 フォノイコライザーアンプの中枢、ECC84

ECC84は一番違いのECC83(12AX7)と違って人気のない球だった。なぜかというと、動作例の発表がほとんどなく、森川忠勇氏の6C33CB OTLの初段に使われたのが唯一だった。
ところが、Ep/Ipカーブを観察するとミドルμの電圧増幅管としては申し分のない性能であることが一目瞭然。5V以下の低電圧時グリッド入力に対する立ち上がりカーブが恐ろしく均等なのだ。(この図版が正確であることが前提ではあるが・・笑)

碌な知識もないのに、この球でフォノイコライザーアンプを作りたいと考えたのは26年も前だ。苦節三年万全の対策を施して完成にこぎつけた。上の写真は動作条件の試行過程で、よくこんなに粘着できたものだと今は懐かしいが、いまだに使い続けていて今後も変えるつもりもない。予備として備蓄を増やしたいと考えていたのだが、ここ10年はテレフンケン、シーメンス、ムラード製は市場から消え、入手困難になっていた。

そんな折、オークションのカテゴリーアラートから出品の知らせが入った。シーメンス製117本まとめてだと!商売じゃないからそんなに要らない。とはいえ両CHで6本必要なので、×4セットとして24本。シーメンス球をこの数量を同一ロットで入手することは今後とも難しいと考え、@3500円で24本買える費用でなんとか落札できるかどうか賭けてみた。オークション終了直前に競合が現れ、猛烈なデッドヒートのうえ少しオーバーしたがなんとか落札できた。しかし、、、残り93本どうする?



2022/03/16






2022/03/10

2287 ALTEC #20275

わが家のスピーカーシステムの中枢を担うのがALTEC 802Dドライバーだ。あらゆる音楽ジャンルの再生でもっとも優れたドライバーのひとつであると確信している。今後もスピーカーシステムを変更することはないので予備の802Dを探していたが、納得できるものがなく、諦めていたところでダイヤフラムの良品に巡り会った。この#20275はALTEC 604の初期から604Dまでのツイターに使われていたパーツだが60年経過しているとは思えないコンディション!DCRが8.5/8.6Ωというのも幸運! 現状、絶好調なのでリスクはあるが、入れ換えてみたい衝動を抑えきれない(笑)とはいえ25年手塩に掛けたダイヤフラムをそう簡単には越えられないか? やっぱり仕舞っておこう。



2022/03/03

2286 雛人形三代記

右下:母が持っていた大正期のもの。古風で気品があった。

左下:娘が産まれて岩槻で買ったもの。一目で気に入ったのだが娘が持って行った。

上:老夫婦用の現在(笑)義母の友人が作ったもの。儚い宴!なんか癒される。



2022/02/21

2285 スーパーウーファー(正しくはサブウーファーと呼ぶ)の険しい道。

20年ちかく前、スーパーツイターELAC 4PIを装着したときから、周波数帯域の重心を保つための低域拡張が懸案だった。ナローであろうとワイドであろうと楽音の重心を動かしたくない。メインは15インチウーファーだが、さらに口径の大きなユニットを加える考えはなかった。ASWのような共鳴箱(ダブルバスレフ方式)が適していると思うが、仕上がりサイズの問題、最適なユニットの選定などバリアが多く断念した。しかたなくGEQの電気的な処理で凌いでいたが、つい数年前ELACのサブウーファーを導入し試行錯誤を続けた。しかしメインのALTEC515Bと上手く連携できない。ELACのサブウーファーは大出力DSPアンプ内蔵で、遮断カーブはもとよりディレイ設定など多岐に渡るパラメータを設定でき、さらに自動測定というモードも備わっている。が、ベストなポジション(設置位置を含め)が決められない。

あるときコントロールするiPhone(iOS)の更新でELACを認識できなくなり、初期ロットのため本国に送り返して本体アップデートを行った。このことで情報家電としてのオーディオ機器に見切りをつけたが、それは別の話題でファイルオーディオに興味が沸かない理由でもあるが(笑)で、本体からDSPアンプ+コントローラーを取り外し、素のユニットだけの密閉型として、外部DSPアンプからドライブするという荒技に転じたのだ。本来、メーカー製品を改造するのはポリシーに反するのだが、背に腹は代えられず、メインのユニットをJBLのフルレンジに換装した効果もあって低域の一体感を獲得するに至った。

また話がそれるがディレイを加えることでサブウーファーの位置を自由に(手前に)設定できるという理屈は嘘である。ソースの音楽信号をディレイ出来ても、その以降のノイズはそのままなので何処から出ているかバレるわけだ。現在はメインのウーファーと同じ距離に置いているが、これはフロントホーンローディングの副産物でもある。

という経緯で、ほぼ満足できる状態になってきたが、持続音とパルスの比較で納得出来ない部分がある。ここを改善すべく次の一手がこれ!全周放射を前面放射に変える魔法の角材!さらに、下の写真、供給電源のクオリティを上げるケーブルの製作。40Hz以下のほぼ正弦波に効果があるのかないのか?藤倉の3.5スケアとフルテックの純銅プラグ。気のせいでもいい・・・。