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2007/06/25
850 "感動"について

感じてこころ動くことが"感動"だ。盤石の自己なんてものはあるはずもないから、なにがしかの影響を受ければ、自分の立ち位置は変わってくる。緩いインパクトであれば、以前の定位置に戻るかもしれないが、その場所を忘れるほどの影響を受けてみたい。しかし、この歳になると難しい・・・笑。

音楽の感動は"忘我"あるいは"エクスタシー"と同義だ。過去の経験から考えると3年に一回。・・・あと7、8回か。オーディオなんかに気を取られていてはイカンかも。

写真:高幡不動尊にて
http://www.vvvvv.net/film/topics.cgi



2007/06/21
849 Air's Edge One 耐震補強工事 近況報告

12時間硬化型の接着剤でもほぼ固まったと思われる感触まで10日かかった。音は接着剤の硬化具合に連動して面白いように変化した。で、どうなったかというと・・・失敗だぁぁぁと思った。2日目は見事な音だった。井上陽水の"少年時代"が入っているアルバムは、リッチでヴィヴィットで声と楽器のパースペクティブも完璧だった。これ以上望むものはなにもない。ここで止まって欲しかった(笑)

それが徐々に硬く解れないサウンドに変化していった。

しかし、グランドピアノやウッドベースのサスティーンは当社比で過去最高レベルに達しているので、補強による低域の硬さではないと判断した。たぶんウーファー帯域の問題ではなく、ハイ側ドライバーとの不連続感だろう。いままでは、エネルギー感はあるもののやや曖昧さのある低域に対して、硬質で濃い味付けのドライバーでバランスがとれていたのではないか。とすれば、補強工事でモヤが晴れた低域に相応しい素直な高域が求められるはずだ。

というわけで、対策可能範囲を探ってみると、まず金属ホーンの設置に目が行く。過去に実践して芳しくなかった対策の幾つかを再び試してみた。3点フローティングのうちメインのドライバー近傍の1点は裏板に直結しているから、補強工事で強度が増したことで振動モードが変化しているはずだ。このポイントは比較的リジットに接しているのだが、ここを対策してみた。詳しくは書かないけれど、よりフローティング度を増す設置方法に変更してみた。物理的な損失が多くなる手法と言えなくもないので、よりダイレクト感を増した低域と合うかどうか・・・

結果は、2時間聴いただけなので判断は保留中だが、菊池雅章の"LOVE SONGS" は過去最高レベルのピアノサウンドになっている。しなやかなテープヒスノイズの上に菊池の唸り声があって、そこにピアノの強靱なアタックとテンションを持続するサスティーンという図式が目で見ているように展開している、という感じ。

さらに、ちあきなおみの"霧笛"を聴く。冒頭の教会のオルガンの空気感が激変している。空気が澄みきったような変化。ギターの前弾き、これは以前より輪郭が細くなり低弦はより深さを増している。で、彼女・・・いやぁ、驚いた。悲しい結末を予想させない平静を装う企み。こんなものまで忍ばせていたのか。参ったな(笑)



2007/06/15
848 SONY MDP999が凄い・・・

長岡さん推薦のLD/CDプレイヤー、SONY MDP999。ジブラルタルシャーシーに特厚の金属プレートで重量30Kgオーバー。12インチのLDを高速で回すには、これくらいの重さが必要ってことか。最近は使う機会がほとんど無かったのだが、昨日、スピーカーの角度調整をやったので、トレイを動かしてテストした。なんとトレイの左端からスピーカーまで5ミリ ←いったいどんなセッティングなんじゃ! ついでだからとCDを掛けてみてビックリ! こんないい音だったっけ。スピーカー耐震補強工事の影響しか考えられない。常用のLHH-300Bと較べると、色はやや浅いが、広大な音場感と凝縮した音像。ニュアンスもあざとさのない品があるし、ひたひたと迫り来る静寂感はまるでdcsのよう。←これはオーバー。音の雰囲気はわが家のアナログに近いやや辛口傾向。

ドライブモータはLD/CDで別のものだけど、ピックアップは兼用。LDの強大なサーボに耐えられる電源がCDに有利ってことがあるのか。しばらくは、これで聴いてみよう。いやぁ、ピックアップを交換しておいて良かった。そういえばピックアップ交換してからCD掛けたことあったかしら(笑)

写真はMDP999のピックアップアセンブル。DVDなんかとはモノが違う。



2007/06/11
847 続・耐震補強工事とウルトラ・ハイエンド・オーディオ体験記

Air's Edge Oneストーリーを中断してこの2日間の近況報告。

前回のフロントボードの補強の結果に味をしめて、背面側(低音ホーンの後面)の強度アップにトライした。ここはALTEC 515Bの強靱な放射をもろに受けるところなので、もともとX形状の木組み補強桟があるのだが、さらに鉄製L型アングルを寄り添わせることで鳴きを半減させる意図。根絶ではなくて半減というところがミソなのだが・・・。前回と同じくアングルの固有音を避けるため硬化タイプの接着剤を多量に用いている。前回のフロントパネルより大きな450×45×45mmのアングルを片chで4本使っている。

結果は・・・大音量対策の一環であったはずが、ホーンの放射ロスが低減したため、低域端のレスポンスが向上し、床や壁、家具の共振が顕著になってしまった。ローレンジがかなり拡張されたように聞こえる。ドライバ側のハイブーストの設定を再調整する必要も出てきた。いずれにしても、いままでどおりの大音量リスニングは厳しい状況になった。つくづくオーディオは難しいものだと今回も思った(笑)。対して、微細音のリニアリティはどの音量域でも大幅に向上し、いままでいかに多くの付帯音を聴いていたのかと唖然とする。背景が一段と深くなり、埋もれていた様々な動きが見えるようになったと言えばいいのか。じつは補強のレベルはこれでも40%くらいに止めている。この先を行うかどうか、数ヶ月のスパンで観察する予定だ。


エンクロージャーの無共振方向の最先端はYGアコースティクス社の一連の製品ではないかと、かねてより思っていたところ、幸運にも同社のフラッグシップ機を導入なさっているビーグルさんのお宅に伺う機会を得た。詳しくはお誘いいただいたジローさんのブログを参照していただきたいが、とにかく驚嘆のリスニングルームで、階下の電源室の尋常ならざる布陣はもとより、無数のケーブル類の扱いに言いようのない美学を感じてしまったほどだ。

音は・・・正確無比なスケール再現性、破綻のいっさいないスペクトラムバランス、緻密で揺るぎない分解能力・・・要は聴き手の意識に的確に寄り添える最高の道具がそこにあるということに尽きる。加えて、こんなハイデンシティ・プロダクツを神経質な雰囲気を一切出さずに日常空間に設置するビーグルさんのセンス、これにも参った。

しかし、軍事用の超硬アルミ合金のエンクロージャー・・・モノの限度というものを知った日でもあった。

ビーグルさんのブログ「はなはなはなこ 」
http://blogs.yahoo.co.jp/hanahanahanako

ジローさんの不定期日記
http://www.studioadept.com/jirou_nikki/



2007/06/08
846 Air's Edge Oneストーリー 中

ところが、まったく鳴らない代物だった。低域の制動が効かないとか高域が明るすぎるとかは当面は許すとしても、声が不明瞭。これは致命的で、Voice of Theaterの系譜に繋がらない。ローレベルの階調云々は10年早いって感じ。うちのカミさんはフィリップス(AD9710/M)に戻せと宣う。

とかくフロントホーンはF特が暴れるからと、パラメトリックEQを入れたり、低域をソリッドステートアンプにしたマルチドライブを試みたり・・・しかし、どれも決定打にはならなかった。一時は解体して箱は燃やしてしまおうと真剣に考えた。思いとどまったのは、その重さである(笑)

で、初心に戻ってエンクロージャーの補強を行い、ウーファーマグネットの再着磁、ネットワークの再設計・・・さらに金属ホーンの支持方法を試行錯誤し、3ポイント接地のフローティングという例のない手法にたどり着いた。なんとか音楽に入り込めるようになったのは、つい4、5年前である。その頃にはパラメトリックEQもバイアンプも止めて元のシングルアンプに戻っていた。

ステレオサウンドの「レコード演奏家」の取材を受けたのはちょうどこの頃である。タイミングとしては良い時期だったと思う。この以前も以後も、はっきり言ってイマイチだった。菅野氏との対話の最後にぼくはこんなことを言った。「できれば漂うような浮遊感も出したい。いまの音ではフランス近代は無理だから・・・」それを受けて氏はこう述べて記事は終わっている。「・・・とすれば、あなたはそういう装置を選ぶのじゃないですか。でも、そうはしなかった・・・」と。

自作機器は端的にいうと、持てる技術と資金と時間のせめぎ合いだ。もちろん出したい音のイメージはある。構造や回路やパーツを選ぶ基準はまさにそこにある。しかしそれがストレートに最終的なサウンドに結びつくことは少ない。多くの場合、テイストの違いより、正しいと思うものに意識が向かうから。というと自信たっぷりに聞こえるかもしれないけれど、そうではないのだ。不安だから、とりあえず間違っていないと思われる部分で攻める。その際、テイストは眼中にはない。

あるときRogers LS3/5A用に求めたQUAD303を面白半分に繋いでみて、音の立ち方に驚いた。音楽のダイナミズムや強靱なフォースを想像以上に表現している。これで粒子の粗さがなんとかなれば・・・ここがオーディオ沼の入り口だったのかもしれない。(つづく)



2007/06/07
845 Air's Edge Oneストーリー 前

12年前にALTECのユニットを使ったスピーカーシステムを計画したとき、頭にあったのは604デュプレックスである。これはかのジェームス・B・ランシング氏が開発した515ウーファーと802ドライバーを合体させたものだ。1945年のことである。

この初代機は残念ながら聴いたことはないが、クロスオーバーを1KHzに下げた604Bをエルタスの店頭で聴いたことがある。床に転がした裸のままのユニットだったが、女性ヴォーカルの濃密な色香にコロッと逝ってしまった。これで石川さゆりの「おんな港町」を聴きたいと心底思ったものだ。(註:この曲は八代亜紀のカバーであるが、さゆりちゃんの方が数段勝っているように思える。)

ところがこの604B、あまり綺麗とはいえないコンディションにも関わらず、値付けが高い! ジュピターオーディオにはキズひとつない新同品?があったがさらに高価でペアで50万くらいしていた。貧乏性なわたくしは、それだったら515と802を買ったほうが安いじゃんと迂闊にも思ったものだ。

というわけで、何軒かのヴィンテージショップ巡りをして、たいていは店主の唯我独尊的キャラに辟易としたわけだが(笑)515Bと802D+511ホーンを購入した。ご存じのようにALTECの正規組み合わせには、このセットは存在しない。515は288ドライバーと相場が決まっているし、802は803ウーファーもしくは416という具合だ。しかし、あたまの中は604だから一向に気にはしなかった。

その後のエンクロージャー製作の模様は雑誌MJにも書いたが、要はJBLパラゴンの作法を一部借りて、604の拡大解釈版を意図したわけだ。ちなみに515Bと802Dの組み合わせは1957年に発表された604Dデュプレックスそのものということになる。

当初目指したのは、ナローながら機敏でタイトな音だった。パワーアンプは自作の6V6ドライブのWE350Aシングルだったから、大音量域は想定外。ひたすらローレベルの階調を重視していた。(つづく)



2007/06/03
844 耐震補強工事

先週のオフ会はこの後にすべきだったと後悔している。今日、No.36で問題になった大音量時の共振対策を施した。ウッドベースの開放弦もグランドピアノの左手のアタックも曖昧な付帯音が激減し、本来のフォースを示しているように思える。楽音と空間の響きの分離具合は、半世紀前のユニットから出ているとは信じられないレベル。

写真:ウーファーユニットのメンテナンスとバスレフポートを兼ねたフロントパネルの背面。元からあった木製の補強桟を両側から鉄製L型アングルで挟む。中間の木質と多量に用いたボンドK120が金属の共鳴をダンプするはず。重量付加を最低限に強度アップを図る手法だ。



2007/05/30
843 東京めたりっく通信を覚えていますか?

99年の暮れごろだったか、電話線に重畳するDSL技術が実用化され
加入者を募っていたので、すぐに申し込んだ。

当初は1Mで、それでも非常に高速で驚いたものだが、すぐに8Mの超高速タイプが発表され、露払い的被験者(笑)になってしまった。これがとんでもないシロモノで2日くらい不通なんてこともあったが、ようやく安定したころ、ソフトバンクに吸収されてしまう。このヤフーBBのADSLはめたりっく通信の8Mをそのまま踏襲したものだった。

メアドが変わらなければ移行も仕方ないと思ったのだが、そうはさせないという非情な態度。
なにしろ、めたりっくのメアドはカッコ良かったのだ。

studio@xdsl.ne.jp

これが使えないでヤフーなんてイヤなこった(笑)

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