849 Air's Edge One 耐震補強工事 近況報告
 12時間硬化型の接着剤でもほぼ固まったと思われる感触まで10日かかった。音は接着剤の硬化具合に連動して面白いように変化した。で、どうなったかというと・・・失敗だぁぁぁと思った。2日目は見事な音だった。井上陽水の"少年時代"が入っているアルバムは、リッチでヴィヴィットで声と楽器のパースペクティブも完璧だった。これ以上望むものはなにもない。ここで止まって欲しかった(笑)
それが徐々に硬く解れないサウンドに変化していった。
しかし、グランドピアノやウッドベースのサスティーンは当社比で過去最高レベルに達しているので、補強による低域の硬さではないと判断した。たぶんウーファー帯域の問題ではなく、ハイ側ドライバーとの不連続感だろう。いままでは、エネルギー感はあるもののやや曖昧さのある低域に対して、硬質で濃い味付けのドライバーでバランスがとれていたのではないか。とすれば、補強工事でモヤが晴れた低域に相応しい素直な高域が求められるはずだ。
というわけで、対策可能範囲を探ってみると、まず金属ホーンの設置に目が行く。過去に実践して芳しくなかった対策の幾つかを再び試してみた。3点フローティングのうちメインのドライバー近傍の1点は裏板に直結しているから、補強工事で強度が増したことで振動モードが変化しているはずだ。このポイントは比較的リジットに接しているのだが、ここを対策してみた。詳しくは書かないけれど、よりフローティング度を増す設置方法に変更してみた。物理的な損失が多くなる手法と言えなくもないので、よりダイレクト感を増した低域と合うかどうか・・・
結果は、2時間聴いただけなので判断は保留中だが、菊池雅章の"LOVE SONGS" は過去最高レベルのピアノサウンドになっている。しなやかなテープヒスノイズの上に菊池の唸り声があって、そこにピアノの強靱なアタックとテンションを持続するサスティーンという図式が目で見ているように展開している、という感じ。
さらに、ちあきなおみの"霧笛"を聴く。冒頭の教会のオルガンの空気感が激変している。空気が澄みきったような変化。ギターの前弾き、これは以前より輪郭が細くなり低弦はより深さを増している。で、彼女・・・いやぁ、驚いた。悲しい結末を予想させない平静を装う企み。こんなものまで忍ばせていたのか。参ったな(笑) |