1284 信州 飯田にて
 白馬で遅い夏休みを過ごす予定が、雨・雨・雨・・・。夏の白馬は3度目なのだが、いつも雨にたたられる。滞在したTホテルは快適だったが、八方も見えないし小布施にでも行こうかと、信州の観光冊子を見ていたら、小京都「飯田」の紹介記事。この街には3週間前に亡くなられた人形美術家 川本喜八郎さんの美術館がある。雨の日の過ごし方としては最高だ。とはいえ広い長野の北と南、道のりで220kmくらいか。ま、こういう予定変更はキライではないが・・・。
14年乗り続けたスバルレガシーからドイツ製の某小型車に変えたのは昨年暮れだったが、諸事情でまたスバルに戻った。その最初のツアーだから距離を移動することに苦はないが帰宅時間から逆算すると、飯田での滞在時間は3時間・・・もったいない!
初めての飯田は金沢に似て、ゆったりとした時間の流れと気品を醸し出す街並みが心地よかった。リンゴ並木沿いのモダンなカフェテリアで1200円のハンバーガープレートを食し(有機栽培の野菜をふんだんに使った逸品だった。)斜め向かいの「飯田市 川本喜八郎人形美術館」へ向かう。
展示されている数百体の人形を見て最初に感じたのは、一種の隙のなさだった。リアルで余韻がないという印象。それは氏が人形アニメーション作家を標榜したように、静止した三次元物としての完成度ではなく、最終的な映像作品に本質を込めたからだと思う。時間変化のなかで育まれる部分にフォーカスさせるため、静止物としての余韻はむしろ邪魔だったのではないかと。不思議なことに、現物を目視した印象より、写真として瞬間を切り取ることで、コアの部分が少しだけ垣間見えたような。それは単に気のせいかもしれないが。
このカットは唯一撮影を許されたエントランスの「三国志 諸葛孔明」の木目込み人形。リコーGX100ノンフラッシュで撮った。 |