1004 Air's Edge ver.1.2(ちょっとマユツバか)
 あっけなく至福の時が訪れてしまったようだ。CDをトレイに載せ最初の一音が鳴り、聴き手の意識はそのまま音楽の内部に入り込む・・・望んでいたオーディオ。それがいまここにある。この状態でもう三日だから期待は確信に変わったと言ってもいいだろう。
いま鳴っているのはシノーポリ指揮、フィルハーモニア管弦楽団のマーラー5番の第三楽章。この曲は例の第五楽章が人気だけれど、第三楽章「スケルツォ」に価値があると思っている。中間部、静寂のなかに散りばめられたピチカートの余韻、そしてその後の怒濤的音響。天使のピアニシモと悪魔のフォルテが交錯する千変万化。聴き手はただ身を任せるだけの逸楽。
ELACのリングリボンツイターの追加。納得できるレベルに到達するのは年を越してからと考えていたが、クロスポイントとレベルの追い込みのあとに行ったある作業。それはウーファーボックスのバスレフポートのチューニングなのだが、これが功を奏したのかもしれない。高域をコントロールするには中域を起点にした対称箇所のチューニングが効果的という事実を思い知った。中域が起点といえばこのAir's Edge ver.1.2は、新たなツイターの付加により、ドライバ802D+511Bホーンが音響的コアになるというスタンスを明確にしたと思う。しかしALTECのアルミホーンとELACのリボンという組み合わせ。誰もやらないと思うがポテンシャルはかなりなものだ。なにしろALTECのなかには「E・L・A・C」があらかじめ含まれている。相性が悪いはずはない。
昨年春のエンクロージャーの補強工事に端を発する試行錯誤。これには想像以上の困難が付きまとった。接着剤の硬化具合に同期したかのようなサウンドの硬化(笑)骨格と表皮が分離したような居心地の悪さ。それまでの割れ鍋綴じ蓋的チューニングが露呈しただけなのだが、復旧にほぼ一年かかった。そしてFレンジの狭さをアピールしてきたのは、なにを隠そうAir's Edge ver.1.1自身だった。 |