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愛猫 シナモンちゃんとポーズ


 



2007/09/27
895 マスクのはなし(改訂版)

急に涼しくなったせいか風邪ひきが多くなって・・・ってそのマスクじゃぁなくて、まあ似たような効用なのだけど、画像処理のマスク版のはなし。それもグラデーションマスクだ。

昔のフィルム時代の製版現場では、赤いアセテートのマスキングシートを超人的な技巧で切り分ける職人さんがいた。製版フィルムに貼り付けてそれこそ髪の毛一本一本の切り抜きまでこなしてしまう。これは切り抜きの語源でもあるが、要は該当部分の露光を遮蔽するのが目的だ。

製版工程がデジタルになったのは、サウンド関係よりずっと早く1970年代後半には基本的なフローが電子化された。イスラエル製のレスポンスという機械(レイアウトスキャナーと呼ばれていた)は、当時3億円くらいしていて大手の印刷工場にしか置いてなかったけれど、これにより半透明のマスクという概念が生まれた。言いかえれば不透明から全透明までのグラデーションマスクである。先の"切り抜き"はハードエッジだからオン・オフの世界でしかないが、レイアウトスキャナーでは画像同士のフェイドイン・フェイドアウトが可能になったわけだ。

その効用をフル活用したのが、当時のオーディオテクニカの広告だった。担当デザイナーは現在も継続中の遠藤享さんで、大いに羨ましかったものだ。はなしは逸れるがオーディオテクニカの初代デザイナーはかの杉浦康平さんである。

その10年後にレイアウトスキャナーと同じ作業(あるいはそれ以上の)がパソコン上で出来るとは誰も予想しなかった。Adobe Photoshopの出現である。

Photoshop上のマスク版も先人の例にならって赤く表示されるところが面白い。このマスク版の境界をぼかしたうえで、さらに別のグラデーションマスクを適応してぼかし量をコントロールできる。例えば、あるオブジェを切り抜くとしてピントの来ているところはぼかしを少なく、アウトフォーカスの境界部分はぼかしを多くすることで自然な合成ができるというわけ。

この作例(といえるほどの出来映えではないが)では、3重のマスク処理を施している。元画像(下の左上)の輪郭をトレースしたマスク版に一定の幅のぼかしを入れる。さらに画面左のアウトフォース部分が背景とうまく馴染むように別のグラデーションマスクで左に向かってボケを強調する。さらにさらに、ピンの来ているスタイラス(針先)部分は輪郭をシャープに切り抜いた3番目のマスクをつくる。・・・と書くと複雑だが、ものの数分で完成。この総合マスク版(下の右上)を反転させて元画像を選択し、背景(左下)に重ねるだけだ。

デジタルがオンオフの世界というのは、じつは誤りだ(笑) デジタルだからこそ、連続世界を自在にコントロールできるというべきなのだ。(関連オーディオネタへつづく)



 
 

 



2007/09/24
894 望月朴清さんの訃報を聞いて

長唄鳴り物「鼓」演奏の第一人者であった望月朴清さん。
http://www.geocities.jp/rkmzw/
亡くなる3日前まで歌舞伎座で演奏していたそうで、たいへん驚いた。

わたくしが聴いた最後の舞台は一昨年の紀尾井ホールでの「英執着獅子」だった。このときの演奏はかつて聴いたこともないような音響で、21世紀の三味線音楽のありかたを示していたように思う。これは当時の幻聴日記にも書いているが、忘れられない体験になった。
http://www.vvvvv.net/topics/topics.cgi?page=200

このリサイタルの主宰者で立三味線の今藤政太郎さんがお書きになっているエッセイを紹介したい。演奏者もすごい事態に直面したらしいことが、この短文から伝わってくるが、こういう話しを聞くと、伝統音楽といえどその価値は生きている人間の表現力に依存しているとあらためて思った。
http://www.masataro.jp/contents/essay/data/omoi001.html

そういう観点でいえば、昨日のNHK教育TV「芸能花舞台」における素の長唄演奏はいったい何だという出来映えだった。現・芳村伊四郎の「助六」と杵屋巳紗鳳の「吾妻八景」・・・ともに若かりし頃、将来を嘱望された逸才で、いずれ七世芳村伊十郎と並ぶような存在になるかと期待された。しかし、昨日の番組に限っていえば芸に覇気というものが微塵も感じられない。聴き手に迫るものがないのだ。単に正確だったり上手いというだけでは鑑賞音楽としては価値がない。いくらトレーニングしても育まれない、ある部分がそろって欠如している。それは端的にいえば、表現者としての気持ちの在りようではないだろうか。これを伝えたくて音楽をやっているんだ、という・・・

その点、望月朴清は気合いの演奏家だった。謹んでご冥福を申しあげたい。



2007/09/22
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2007/09/22
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2007/09/22
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微光a-f

like a film
http://www.vvvvv.net/film/topics.cgi



2007/09/11
890 EOS-40D 続報

昨日から実戦モード。とりあえず今週中に10テーマ、バリエーション込みで600カットくらい撮る予定だ。まだPhotoshopのCameraRAWが対応していないのが辛いが、色温度さえ外さなければJPEGでもなんとかなりそうだし、いざとなればSILKYPIX 3.0もある。(15日に40D対応版がリリースされたが、残念ながら今回は間に合わなかった。)

部分拡大のライブビューはピンポイントのフォーカスには絶大なものがあるが、やはり全体が見えないのがもどかしい。PC接続でピクセル等倍の全画面表示なんてレベルになれば、モノ撮りは新しい局面を迎えると思うが、現状ではプラマイありってところだろう。しかし、このライブビュー、少ない画素ながらフォーカスリングの操作にリアルタイムに反応するところが凄い。まあ、ここでタイムラグがあったら実用性はゼロだから・・・

色再現はかなり優れているようだ。当スタジオは蛍光管(PHOTOLUX 57)定常光ライティングを採用しているのだが、カラースペクトラムの偏り*は気にならないレベルで、彩度の高い色が気持ちよい。

*相変わらず青が青紫に色相回転するのは、嬉しくないが・・・




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