929 影の色あい、あるいはターニングポイント その2
 自然界は太陽や月といった単一の光源のもとで照らされている。しかし雲があればそれは巨大なバンクライトとして拡散光を形成するし、二次反射、三次反射の光が大きく関わっている。たとえば物の影の色はけして暗黒ではない。この影の強弱や色調に反射光の成分が練り込まれている。
わがミニスタジオは全周を黒いスクリーンで覆っているので、光源の二次・三次反射が極端に少ない。オーディオでいうと無響室の振る舞いに近似している。なにも対策をしないと直接放射のみの非常にコントラストの高い明暗を作るが、同時に陰影のコントロールが自在という利点もある。必要な反射成分のために白やグレーの壁面を用意したり、あるいは光源自体をこの壁面で反射させて照射する。
例の"月明かり"は下の写真のようにメインライトを微少に絞ってサブロクの白いパネルに向け、さらに狭角リフレクタとグリッドで絞り込んだビーム近似のスポット光を併用した。
わたくしの写真ライティングはまったく自己流なので、専門家の失笑をかう事態もあろうかと思うが、ルーツは舞台照明ということでどうかお許しをいただきたい。(つづく)
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