2297 28年使っているスピーカーを入れ替えようかと・・・
今年になってJBL D-123オープンバッフルを鳴らし始め、帯域バランスは良くないが屈託のないストレートなサウンドに、求めていたのはコレだと痛感した。いままでの方法が間違っていたとは考えたくないが・・・ ウーファーにALTEC 515Bを使っていた頃は、LCネットワークなしのダイレクト接続だったから、スロート部分の対面にグラスウールを多量に置いて高域を抑えていた。7年前にLCネットワークを再構築してフルレンジのJBL D130に換装したときも、このグラスウールはそのままにしていた。ジュラルミンのセンタードームの鳴きを懸念したからだ。元々フロントローディングの折り曲げホーンから純度のある中低域を出す自信はなかったし、開口部には大きな511ホーンが鎮座しているが、結果がまぁまぁだったので28年も使い続けている。とはいえ若干の猥雑感というかマスクされたような濁りがあったのは否めない。 という次第でメインスピーカーをメーカー製に変えようかと調査を始めたのだが、古い自作品とはいえ粗大ゴミとして出すのはどうかと考え、まずは前記の問題を解決する道を探った。 グラスウールを全撤去し、ホーン内部の定在波を解消するプラン。このホーンはハイパボリック曲線に倣ったカットオフ45HzのCW(幅一定)ホーンなので、スロートから開口部まで定在波が発生している。ホーン内部は62cm幅なので半波長-全波長で274、548Hzを中心に大きなウネリがある。GEQで部屋の定在波と内部定在波を電気的に補整しているが、それは前者だけに止めたいと考え、内部すべての平行面に5mm厚のフェルトを貼った。ホーンは効率を高める手段でもあるから、内部で吸音するのは邪道だが、グラスウールの撤去で帳消しにできるかもと予想した。 ・ 結果は・・・ GEQの設定を以前のまま試聴を始めたら当然だけど全然良くない。400Hzから上は補整しないことにしているので、ホーンの定在波が影響する帯域は200、250、315Hzのポイントであり、フラット(補整なし)と比べながら聴感だけで仮補整すると最大3dBの範囲内で収まりそうだ。完璧とは言えないがホーン内定在波が大幅に減少している模様。RTA測定は様々な音楽を聴き込んでから行うことにする。たぶん年明けか。 まずはグランドピアノでグールド、グリモー、ピリス、エバンス。タッチのニュアンスが違う。低弦の角がしっかり出るのに柔らかいフェルトの感触がある。低域の余韻が消えるまでが長い。右手はコッっとした支えと共に粒立ちが煌めく。ピアノの匂いを久しぶりに感じた。その他、チェロやアコースティックギター、バンドネオンなど主に小編成のものを聴き続けた。 問題の声。アグネス・バルツァのギリシャ歌曲、様々なフランス語が飛び交うバルバラのトリビュートアルバム。声が肥大せずに音の芯と周辺への滲みを描いている。声のダイナミックレンジが想像以上だった。近年のハイエンド系のスピーカーの表現は好みではないものが多いが、それに繋がるような世界もすこし感じた。中低音の全体への支配力をまざまざと感じ、スポイルされていたものの重要さを知った。大編成の楽曲は怖くてまだ聴いていない。 |