 と考えつつも、新たなアンプ製作は諸事情で難しいので、現行ボリュームを入力レベルの設定に特化して、新たに音量調整ボリュームをライン増幅段の後に挿入することに決定した。
聴取レベルが一定なら必要ないディバイスだが、休日午後の爆裂サウンドと平日深夜のリスニングでは平均音圧レベルで40dB以上の違いがあるはず。CDの実用ダイナミックレンジを70dBと仮定すると、ラインアンプに求められるダイナミックレンジは110dBに達する。
これは、無帰還真空管アンプでは(じつは石でも同じ)無謀な仕事! ソースの70dBでさえアンプにとっては厳しく、動作域のスイートスポットは必ず存在する。最終的な音量とは無関係に入力レベルでアンプの美味しい動作域を設定するという計画なのだ。 これは業務用ラインアンプでは昔から行われている手法ではあるが。
音量調整用のボリュームは先のアルプスRK50型で、−120dBを保証する世界最高レベルのボリューム。ただ、トランスの替わりにボリュームが入るデメリットも当然あるわけで、これはやってみないと結論が出ない。なお、ラインアンプの出力インピーダンスを考慮し10KΩタイプを特注した。
VI
という次第で、ライントランスを省いたビビットなサウンドを10日ほど聴き続け、もう元には戻れそうにないが、最後の記念にもう一度トランス+バランス送りに戻してみた。
ところが・・・これが良いのだ。参ったなあ。
圧倒的なSNでドライバーからは残留ノイズの微塵も聞こえない! ハイゲイン・アンバランスより深くて濃厚! 鮮度感もFレンジも劣っているのにソリッドな密度感。声の実在感はやはりこっちって感じ。アンバランスが白をバックグラウンドにしているとすれば、こちらは漆黒のベルベットの世界。こりゃ、こっちも残す方法考えなくては・・・(ホント、一貫性がない。スマンです。) |