825 山口孝 in Dynamic Audio Sound House
 現代JBLのフラッグシップDD66000によるスペシャルイベント。題して「JAZZ ON BASS LINE 」いつもながら山口孝さんの選曲とトークが素晴らしい。と言っても、全6曲のうち初めて聴く演奏が4曲だから偉そうなコメントはできっこない(笑)
会場フロアの店長である厚木氏が明け方までチューニングした機材は以下のとおり。先日、個人的に聴かせてもらったラインナップとほとんど同じで、LINN LP-12のみは最新フルバージョン仕様で、な、なんと270万円!
スピーカー:JBL DD66000 パワーアンプ:Mclntosh MC501x2 プリアンプ:Mclntosh C46 ADプレイヤー:LINN LP-12 CDプレイヤー:LINN UNIDISK 1.1
音は、とても鮮烈で、しかも懐かしいあの音に再会したような・・・70年代の吉祥寺ファンキー1Fの音が35年後の最新テクノロジーで遙かにリファインされて甦ったと言えばよいのか。近年のオーディオで忘れられたかのような、濃くて太い音の立ち方。しかし、細部の表現力は当時とは格段の違い。たぶん、こういう野蛮な(失礼)エネルギーの塊のようなサウンドを初めて体験したオーディオファイルも多かったのではないだろうか。その意味でも大いに意義のあるイベントだったと思う。実際、ファイナルプログラムのミンガス「So long eric」はイメージのまんま。オーディオでこんな凄い音は空前絶後と断言したい。
が、しかし・・・ラファロ(エバンスのPortrait in jazzから枯葉)やゲイリー・ピーコックのソロは大いに違和感を感じた。個人的にとても好きなベーシストである彼らが、こんな巨大で、図太く、力任せの音(音楽)を目指しているとは到底考えられない。ウッドベースの力感は楽器の構造とプレイヤーの心技が一体になって成立するが、それは電気のチカラとは無関係のはずだ。
もとよりジャズの録音再生は、原音場のありようが基準にならない難しい問題を抱えている。ドラムとベースの音量差はそれらがアコースティックであるかぎり、どこまでいっても正解はないのかもしれない。が、目指す音楽による適正値は存在すると思う。ゲイリー・ピーコックが70年代はじめ、日本滞在中に録音した「EAST WORD」というアルバム。録音は名匠半田健一氏であるが、この時代を代表する名演・超優秀録音であると断言したい。巨大ではなく俊敏、力任せではない深く沈むピチカート。ピーコックの本質を見事に捉えているし、そこには電気のチカラは微塵もない。これをあの装置で聴かせてもらえれば真相は分かるはず(笑) |