自作のCR型フォノイコライザーは現在、再構築中でアナログディスクを楽しく聴けないでいる。それとNF型の媚薬的妖艶感がちょっと懐かしくもありで、CREEK OBH15という廉価版フォノイコを導入した。

「低域は空間を司り、高域は物質を形づくる。では、中域は何かというと "人間とその精神" の表出に関わるのではないだろうか。音そのものに人間の意志を伝える能力はないかもしれないが、それに反応する聴感覚は "中域" からより多くのメッセージを受け取る。」・・・Sonny Rollinsの "on Impulse!" を聴きながら、こんなことに思い至れる機械は少ない(笑)。
この製品、低域・高域端では密度感に欠けるし、音像の背後をあぶり出す描写力もない。画像に例えると "黒" が0に沈まず "春霞" のようなザワメキ感も若干ある。(ノイズ感とは異なるが・・・)だが、サクソホーンの微妙なトーンの変化や、彩度の移ろいを丁寧に描写しながら、音に内在するロリンズの "ベクトル" をリアルに伝える浸透力が素晴らしい。
リスニングルームの気圧の変化や、マテリアルの分子構造を提示するかのようなオーディオ再生が一方にあり得るけれど、それによって見えにくくなるものが確かにあると思わせる体験だった。