デジタル記録とアナログ復元を考える。


以下の画像は、デジタルオーディオにおけるサンプリングとポストフィルタ(LPF)の実体を画像処理のテクニックを用いて疑似化したものです。誤解なきよう補足しますと、正弦波の音声をサインカーブで表すような正確な「モデル化」ではありません。画面上部の自由曲線はあくまでも図形の範疇ですが、下部の等間隔ピッチは音声の粗密波にやや近いイメージと言えるかもしれません。また実際のデジタルオーディオ技術で用いるノイズ・シェーピング技術は反映されていません。

図Aは画素換算でサンプリング値576kHz相当という疑似アナログ波形で、これを原信号とし、図B,C,D,E,Fで各種サンプリングを行います。なお画面下方の等間隔グリッドは19.2kHzの波形ピッチを表しています。

図A


図Bは48kHzのサンプリングを実施し、右図はLPFを通過したアナログ復元信号です。図Cは同じ48kHzサンプリングですが、入力タイミングを1/2サンプル分遅らせたケースです。画面左端のエッジの再現性以外は思ったほどの変化はないようですが、19.2kHzの連続波形の再現性はいづれの場合も芳しくありません。

図B

図C


図Dは図Bを4×4倍(単純補間)オーバーサンプリング状態をイメージしたものです。右図のように浅いフィルタ(高域にシフト)で済むが解像度的には厳しい。

図D

図Eは96kHzのサンプリングで、右図に見られるように、LPFのあとは見事な復元状態にあるといえます。

図E

図Fは、サンプリング値288kHz相当の1ビット変換をイメージしたものです。左図では白黒2値によるビットマップ画像ですが、LPFを通すことで、アナログに復元されます。なお、現在の高速1bit/DSD変換では、これよりはるかに高密度の2.8MHzでサンプリングしています。

図F

図Gはちょっとした遊びです。LPレコードの高域再生限界を32kHzと仮定したランダム粒子で原信号をスクリーニングした状態です。LPFに相当するものが何か?難しいところですが、多分、右図のような状態に近いと考えます。これが原信号に忠実かどうかは異論があるでしょうが、目を細めると48kHzサンプリングより優れているように思えます(笑)。

図G



いかがでしょうか?デジタルオーディオの専門家からは、若干の批判が来るのは、承知しています(笑)。先に記したように、アナログ→デジタル→アナログという変換プロセスは、サインカーブのような単純モデル化は困難な多面体といえます。目に見えにくい事象を少しでも、視覚化できないか、という個人的興味からアプローチしたものです。どうかお手柔らかなご批判をお待ちいたしております。

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